突然ですが、皆さんはここ数年、教育で重視されるようになってきたSTEAM教育というものをご存知でしょうか?
STEAM教育とは
STEAM教育とは、簡単にいうと、今後の社会で求められる人材育成のための教育方針のことです。
・Science(サイエンス)…科学
・Technology(テクノロジー)…技術
・Engineering(エンジニアリング)…工学、ものづくり
・Arts(アーツ)…芸術、リベラルアーツ、文化、政治、経済、生活など
・Mathematics(マスマティクス)…数学
の頭文字を繋いで、スティーム教育と読みます。
Arts(芸術)が入っていますが、これはリベラルアーツなどの教養を含めた幅広い意味で使われています。
決して、美術のみを指すわけではないので、「楽しくお絵描きだけすればいいんだな!」というものではありません。残念!
アーツは、生きるための力や教養、固定観念にとらわれない姿勢、新しい価値を創造する力など、人生のベースになる部分の知識、技術、態度全般を指しています。
私は去年初めてSTEAM教育について知りました。
まさか、教育で芸術が重視される日がくるなんて…😭✨‼️
美術の時間が学校教育から減らされているという話を聞いてから、だいぶ経ちますが、ちょっと驚きました。
確かに、コロナ禍なのに、一昨年くらいから私が前に働いていた美術教室は急に人気になりました。
なんでだろう?とずっと考えていたのですが、STEAM教育が話題になった影響もあるのかもしれません。
もしかしたら、素晴らしい私の影響かもしれんけど、そんなこと書けない。
(ちなみに私はSTEAM教育だけでは、人との交流や助け合いの部分が抜けているので、少し頼りないなぁ〜と個人的には思ってます)
美術やアートは、学校でいう主要5教科には入っていません。
なので、美術=勉強じゃない=趣味やお遊びの延長と捉える方は多いと思います😭否定できん❗️
けれど、ねこいるは美術やものづくりを「遊び+心の学び」と捉えて、カリキュラムを計画しています。
ただ作るだけでなく、生きるための学びや刺激の部分も重視したいと考えています。
実際、大人になってみて、
実生活でほんとうに必要になってくるのって、
学力よりも自分自身を幸せにできる心や力
だと私は常々感じるんですよ。
(学力あっても辛そうな大人をよく見かけるので…)
そこで、この「子どもたちの心の学び、成長」を深めるために、
保護者の方にどうしてもやってほしいお願いがあるのです。
なんだと思いますか?
ヒントは、お家じゃないとできないことです。
子どもたちの作品を飾ってください!
なーんだそんなことか〜と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、これ、ほんとうに大切なことなんです。
高い受講料を支払って美術教室へお子さまを通わせても、お子さまが作った作品に興味を持たずにすぐに捨てたり、そもそも持ち帰らない保護者の方は案外いらっしゃったので、ここで書かせてください。
作品を飾ることで育つ大切な心があるんです‼️
子どもの作品を飾ることで育つ心
- 自分は大切にされているという気持ち
これについては詳しく書かなくても分かると思いますが、自分が頑張って作ったものが、ぞんざいに扱われていたり、捨てられていると、どんな気持ちになるでしょうか?
頑張って作った料理を家族が食べてくれない並のモヤッとした気持ちになると思うんですよ。(中には全く気にしない子もいますが)
逆に、作品を大切に飾るだけでも、お子さまに安心感や達成感、自己肯定感などの気持ちが芽生えてくるのではないでしょうか? - 家族との会話時間
お子さまの知らない側面が形になって見えてくるのも、ものづくりの楽しいところです。
「これはどうやって作ったの?作ってみてどんな気持ちだった?難しかった?」と、作品を通してお子さまの今の心を聞いていただければと思います。
特に幼児さんは「私を見て!聞いて!」というエネルギーいっぱいの子も多いので、ご家族の方からも聞いてみてください。
言語化しにくい気持ちをあえて言語化してみるというのも、表現力を高める練習になります。 - もっとやってみようという気持ち
時間を飛び越えて、作品を作ったその時を思い返せるのも美術造形の力です。
作品を飾ることで、楽しかった記憶が蘇ったり、今後の制作意欲が湧く子もいます。
やる気を高めたり、制作時の想いを体験し返すためにも、作品を飾ってみてください。 - 自分の成長を振り返る時間
たとえ、自分が失敗したな…微妙だな…と思う作品でも、全く学びがないわけではありません。
どうして微妙だと思うのか?自分はほんとうはどんな作品を作りたかったのか?を時間をおいて振り返ってみるのも大切な学びの時間です。
飾られた作品を眺めているうちに、だんだんいろんな気持ちが芽生えて、心や技術力が成長している自分に気付けるのも素敵な体験です。
飾った後の作品はどうすれば良いのか?
ある程度飾ってみて、
本人が満足したら写真撮影をして手放す、
もしくは、
大人になってもずっと飾っておいて良いのではないか?
と思います。
私も小学生時代に描いた、額装してある唯一の絵をずっと飾っています。
25年経った今でも描いた時の状況や気持ちを鮮明に思い出せますし、もし捨てていたら絶対に思い出せなかっただろうな…とも思います。
作った時に良い気持ちがしたものは、飾り続けても良いかな?と個人的には感じていますし、人の家に遊びに行った時に、子ども時代の作品が飾ってあるお宅にお邪魔すると、ほっこりします。
(私の家は子どもの作品を残しておくけど、物置に入れて飾らない家でした)
最近は、写真を冊子やアルバムにしてくれるサービスも充実していますので、そういう印刷会社にデータを送って、お子さまのポートフォリオ(作品集)を作ってみても良いかもしれませんね。
作品とゴミの境界を考える
話は少し逸れますが、私が中学生の頃、私より美術の才能のある友達の家へ遊びに行ったところ、その子の作品がベランダに雨ざらしになって捨ててあったことがありました。
私はその子の作る繊細な作品を尊敬していたので、とても複雑な気持ちになりました。
その子は「いつものことだから…」と笑っていましたが、中学3年生になった頃、学校へ来なくなりました。
「美術教育をすれば自己肯定感が育つ」なんて書かれている情報も世の中にはありますが、
ホントにそうかな?と私は疑問に感じます。
一番大切なのは、
その子が自分は周囲に受け入れられていると感じられること
ではないでしょうか?
(もちろん子どものすべてを全肯定するのも弊害がありますし、時には受け入れられずに傷付くことも大事な学びの1つだと思うので、素朴な人間対人間の対話で良いと思います)
私は、美術というのは、
制作(表現)+周囲の働き(受け手)の両方が大事
だと考えています。
制作時は1人でも、誰か受け取る側がいて成り立つ分野のものです。
美術は物が形として残る分、その取り扱い方で受け手の気持ちが目に見えて分かってしまう部分があります。
親がどう思おうが、作る子は楽しんで作り続けますが、作品をすぐに捨てたり、扱いがぞんざいなのは、やはり作る側の子どもの気持ちを考えるとモヤッとします。
作品を家に飾ることで部屋の雰囲気も変わってきますし、しばらくその感覚を大人の方も一緒に楽しんで頂けると幸いです。
作品を飾りやすい工夫
ねこいるでは、造形遊びなどを除いて、生徒さんの作品をなるべくご自宅で飾りやすいものにしようと考えています。
美術作品だけでなく、生活雑貨も作ってみようと企画しているのもそのためです。
美術教育では、完成させることよりも過程を大事にする考え方もありますし、私も美術教育は自由であって欲しいと思っています。
ただ、他の習い事と違って、美術は材料費や準備代がかかってどうしても受講料が高い分、制作プロセスだけを重視して良いのかな?と悩むことも多いです。
おしゃべりが大好きで2時間の講座の間ずっとおしゃべりして、最後の10分で作品をパッと作る子もいますし、私はそういう子も超好きですが、
「本人は大満足。でも、作品は未完成。私お金いただいて良かったのかな?😭」
と悶々とすることも過去にはありました。
「美術が扱うものが物質じゃなくて、心であるならば、それで良いんじゃない?
作る気持ちより話したい気持ちの時もあるし、会話も自己表現の1つだから。
でも、お金出す側の親御さんとしてはどうなんだろう?」
とか、よく1人で悶々地獄にハマっています…
教育について考え出すと、絶対にこれが万人に合う答えだ❗️なんてものが無いので、考えこむことも多いですが、いろいろ試行錯誤していこうと思います。
基本的には、生徒さんの作品を長く飾って楽しんでいただけるように、カリキュラムを計画します。
その分、どうしても良い材料を使用したり、専門的な技術を用いたりと、受講料が高くなりますが(申し訳ありません)、1回1回の受講で終わらない長い喜びをご提供できればと考えております。
長くなりましたが、
お子さまの作品を家に飾る。話す。
是非、ご協力ください🙇♀️